オオ、ジュニア!

~ありふれた少女の非凡な一日~

立てば芍薬、座れば牡丹、食べる姿は

「何か良い事ないかな」が口癖になりつつある。

しかしふと思い返してみると別段不幸に見舞われているワケでもない。

平穏と言えば聞こえが良いのだが……言ってしまえば"何も無い"のだ。

なんだか退屈で鬱積した心持ちなのである。

どこか遠くへ、誰も僕の事を知らないところへ、行ってしまいたい。

 

 

箸の扱いに長けている女性は美しい。

魚を綺麗に食べている姿の美しさは元より、誰かの為に身を解してやっている姿のなんと愛おしいことか。

加えてモクモクとたくさん食べていたりすると尚良い。

しかし、である。

逆に男ならば骨なぞ気にも留めずにガツガツ平らげてしまった方が美しい。

男は少し行儀悪いくらいがカッコ良いのだ。そうに違いない。

友人が魚を食べる姿を目にしたら同性の僕ですら父性本能がくすぐられたのだから、単に欠点というワケではないはずだ。

チマチマと身を解して綺麗に食べた後に、残った背骨はオーブンでカリカリになるまで焼く……なんてみみっちいことを男は考えてはいけないのだ。

同様に"海老フライの尻尾を食べるか否か"という物議を醸しているが、これはまたの機会にしよう。

 

 

さて。どうでもいいが僕は椿の花がとても好きだ。

花弁がポトリと落ちる姿はあまり縁起が良くはないそうだが、僕には潔く見えて好感すら抱いている。

咲いている姿はお淑やかで慎ましい女性を連想させる。花言葉も、良い。

いつか、いつかきっと部屋で小さな椿を育てるんだ……。