オオ、ジュニア!

~ありふれた少女の非凡な一日~

可愛い人になりたい

 僕は努力をしたことがない。

 「つらいけどがんばる」みたいな根性を発揮する前に「つらいなら止めてしまえ」と思ってしまう。おかげで悔し涙を流した経験なんて一度もない。何事も楽しめる範囲でしかやってこなかったし、今まではそれでどうにかなってきた。これからはどうかなあ……どこかで行き詰まる気がする。その時にはちゃんと努力できるのだろうか。ずっと楽しめていたらいいな。

 多趣味であること自体を羨む人や褒めそやす人がいるけれど、すこし複雑な気持ちになる。一つのことを極める方が格好良いのに。確かに努力できない性格の結果として自分が多趣味になったということもある。けれどそれを差し置いても、興味さえあれば嫌でもそれが趣味になりそうなものなんだけれど。無趣味な人ってどうやって生きているのだろうか。なんだかすこし怖いなあ。

 というわけで最近、革細工を始めた。格好良く言うならばレザークラフトとかいうやつ。前々から興味はあって小さなモノは作っていたのだけれど、今度はしっかりと道具も揃えてちゃんと練習するぐらいには真面目に取り組んでいる。今まで趣味ばかり多くて特技が無かった僕なので、せめて今回ぐらいは習熟したい。多趣味無特技ほど寂しいものはない。……がんばろう。