御世間様
"皮肉"という言葉をご存知だろうか。
そう"骨付き肉"ならぬ"皮付き肉"のことである。
漫画"美味しんぼ"では叉焼(焼き豚)の話に出てきたアレである。
きっととてもジューシーでプリプリなお肉であろう。
いや待てよ……もしかするとソーセージかもしれないな。
どちらにせよとてもありがたいモノなのだろう。そうに違いない。
偶に誰かが口にしている”世間”という言葉が嫌いだ。
小学生の「みんな持ってるから」という常套句に対する其れと同じ印象を受ける。
世間様の御顔はぼんやりとしていて、実体の無い存在のように感じるのだ。
そもそも世間とは一体なんだろう。とりあえずは辞書を開いてみようか。
せ‐けん 【世間】
1 人が集まり、生活している場。自分がそこで日常生活を送っている社会。世の中。また、そこにいる人々。「―を騒がした事件」「―がうるさい」「―を渡る」
どうやら"日常生活に基づくコミュニティ"というモノらしい。
語感に反して非常に小さなコミュニティである。
(この言葉を耳にした際にはもっと大きなコミュニティを想像するのだけれど。)
例えば「世間では……」という接頭辞はどういう意味を持つのだろうか。
コミュニティの総意か、それとも多数意見だろうか。
いや、まさかコミュニティの構成員に各々アンケートなぞ取ってはいまい。
こうやっていちいちデータなんて取ろうと考えるヒトは、僕の父くらいのものだろう。
"世間"という言葉を耳にする度に思う。
「世間ではなく、それは貴方だろう」と。
貴方の主張で、貴方の考えで、貴方の感情だ。
世間という代弁者を立てて何を目論んでいるのだろうか。
正当性・責任転嫁・信憑性・エトセトラエトセトラ……。
そもそも僕は貴方との会話を楽しみたいのに、知りもしない第三者の話をするなんて無粋だとは思わないのだろうか。
「……俺といるときに他の男の話なんて、するんじゃねぇよ」
是非一度は吐いてみたい台詞である。
話は変わるが僕の父親の血液型はAB型で、僕はB型である。
父が変人である事は上記の話に加えて、血液型からも自明であろう。
血液型と性格における関連性の科学的根拠は無いそうだが……。
まぁ世間様が「AB型は変人だ」と仰っていたのだからそうに違いない。
そういえば「B型はクズ」とも仰っていらしたなぁ。
なんとも勿体無い御言葉です。