オオ、ジュニア!

~ありふれた少女の非凡な一日~

正義の味方は手前の味方

"アンパンマン"というキャラクターをご存知だろうか。

幼児に絶大な人気を誇る国民的キャラクターである。ご存知無いとは言わせない。

そのアニメの中でも、幼少の頃に観た「アンパンマンのアンコの代わりに、クリームを入れてみると酷く弱体化した」という話を、よーーーく覚えている。

……そう、何を隠そう僕は"熱心なクリームパン信者"だったのだ。

「アンパンよりクリームパンの方が美味しいのに……」

僕は幼いながらに絶望し、ブラウン管の前で呪詛を唱えたものだ。

 

 

僕はヒーローに憧れている。

男の子であれば誰でも一度は活躍する彼らに心を踊らせ、その勇姿に自分を投影させたことであろう。

「人々のピンチに颯爽と現れ、助けた後は正体を明かすこと無くクールに去る。」

そんなイカしたヒーローに僕はなりたいのだ。

しかし現実において怪人に襲われるような、生命の脅威なんてほぼ無いであろう。

基本的に平和なこの国では特撮のようなヒーローはお呼びでないのである。

それでは日常生活においてヒーローの条件を満たすには、どうすれば良いのだろうか。

上で挙げた理想像から察するに、求められる能力は以下の3つであろう。

①ピンチ(困り事)を敏感に察知する観察眼。

②スマートに問題解決する敏腕さ。

③見返りを求めない奉仕精神。

なんというか、そうだな、こう書いてしまうと"都合の良い男"なだけな気がしてきた。

この条件には"心を滾らせる何か"が足りない気がしてならない。

安直に考えると"熱血さ"だろうが、それだと某テニスプレイヤーになってしまう。

一体何が足りないというのだ。

やはり僕はヒーローになれないというのか。

 

 

正義の味方になんて僕はなりたくない。

彼らはどこか独善的で、どうにも好きになれないのだ。

アンパンこそが絶対的な正義と、一体誰が決めた!?

クリームパンだって……クリームパンだってなぁ……!

 

【結論】

クリームパンダなんて知らない。