オオ、ジュニア!

~ありふれた少女の非凡な一日~

遺書を書いていたつもりが、ラブレターみたいになってしまって

写真の整理なんてものをしてみた。

これをやる度に"しにたみ"が増すので、「次は死ぬ前にやろう」などと思っている。

今回もご多分に漏れず、微かな"しにたみ"を感じている。

写真に残っていた落書きとそれを描いた月日をリンクさせただけなのに。

 

 

何ヶ月か前に当時付き合っていた彼女と別れた際に、友人から「彼女の写真を消してしまわないの?」という旨の言葉を掛けられた。

その時に僕がなんて答えたのかは覚えていないが、いま写真が残っているということはNOと答えたのだろう。

当時そのように答えたのは、執着に起因するものだったかもしれないし、「男に二言は無い」みたいな矜持に依るものかもしれない。

当時付き合っていた彼女を被写体に、僕はクソ程膨大な量の写真を撮っていたので、消すのが面倒というのもあったのかもしれない。

よく覚えていない。

 

人間の脳は物凄く上手く出来ていて、嫌な記憶というものはすぐに忘れてしまうらしい。

どうでも良い事なんて忘れる前に覚えすらしていない。

極端な事を言ってしまえば、良いことも悪いことも全て、いつかは忘れてしまう。

そして当たり前だけど、忘れてしまっては思い出すことは難しいので、下手をすると完全に無かったことになってしまう。

こんなにも悲しいことはない。

 

昔の写真や落書きを見て「下手糞だなぁ」と苦笑すると同時に、「こいつ天才か」と驚嘆する事が、極々稀にある。「やっぱり天才か」という事も。

視点やら価値観やら心の躍動やら、今の僕が忘れてしまったモノを昔の僕は覚えているから、面白い。

だから僕は所謂"黒歴史"といものを消さない。

少しでも刺激はあった方が良いし、それが僕の手札になる事もある。

あとでああだこうだと解釈する楽しみもあるしね。

 

 

最近やたらと、久しい人や久しくない人から連絡が来る。

彼ら彼女らが連絡を寄越した理由は様々だけど、その度に「中々忘れてくれねぇんだなぁ」などと照れ笑いをしている。

吝かでない。